どこで買うか

　CPU やマザーボードなどの PC パーツは、「PC パーツショップ」で購入します。メーカ製の完成品 PC を扱っている「パソコンショップ」では、一般に「周辺機器」は扱っていても、裸の「パーツ」を置いているところは少ないか、あっても少量で、選択肢が限られ、さらに割高です。

　この「PC パーツショップ」が、日本に何百件あるのか知りませんが、その多くは、東京・秋葉原、大阪・日本橋に集中し、世界的にも有名な「電脳街」を形成している反面、その他の地方にはごくわずかに数えるほどしか存在しないのが現状です（名古屋・大須にも集まっているそうですが、詳しくはわかりません）。

　「PC パーツショップ」のいくつかは、複数の支店を持ち、全国展開していますが、自社ビルや大規模店舗で営業しているところはまれで、ほとんどの店は貸しビルのテナントに１フロアだけということが多く、非常に怪しい雰囲気を持つ一方、素人には見つけにくい店が多い（裏通りの小さなビルの３Ｆや４Ｆにあり、看板も小さいなど）のも事実です。また、テナントの都合なのか、店舗の移転（引っ越し）も頻繁です。したがって、店舗名だけを聞いても、必ずしもその店に行き着けるとは限りません。雑誌の広告や、インターネットで公開されている Web ページなどから、最新の地図と電話番号をひかえてから出かけるのが常套手段です。

　さて、まったくはじめてパーツを揃えて自作する場合は、できればひとつのショップでまとめて購入する方が安全です。これは、知らなければ絶対にわからないパーツ同士の相性問題や、初期不良などでのショップ間のたらい回しを未然に防ぐことと、まとめて購入してくれるお客さんはショップにとっても上客なので、忙しいときでも時間をさいてくれたり、アドバイスにのってくれたりなどのメリットが期待できるからです。ただし、事前にある程度は自分の構想を固めてから出かけないと、ショップ側の都合のいい組み合わせ（もしかしたら、在庫がだぶついていて処分したいパーツなど）をうまく押しつけられるかもしれませんのでご注意。

　それとは逆に、はなからショップのサポートなどあてにせず、少しでも安いものを求めて、いくつもの店舗をはしごしてパーツをかき集める手もあります。当然、事前の入念な仕様・価格調査、事例の研究、最新の情報収集と、現場での臨機応変さが不可欠で、動作確認用の既存システムもない場合はかなりのリスクを背負い込むことになりますが、こちらの方が確実に知識が付き、自作しているという満足感は得られるでしょう。

秋葉原

　秋葉原は、おそらく「世界一の電脳街」と考えて間違いありません。店舗数、商品ラインナップ、価格相場、どれをとっても他に匹敵する場所はありません。「秋葉で入手できないものは、他のどこでも入手できない（一部例外あり）」と言われています。一部例外とは、ずばり「売り切れ」です。人気の最新商品がどこよりも早く入荷して、どこよりも早く売り切れてしまうのが秋葉原で、商品サイクルが異様に早いことと、そのため価格変動も非常に激しいため、常にチェックしていれば驚くような掘り出し物が見つかる一方、古い情報をもとに探しても、たぶん徒労に終わることが多いでしょう。


　秋葉原には、ざっと数えても 50 件以上のパーツショップがあり、すべてをここで紹介することはできませんが、定評のある店をいくつか挙げておきます。


　なお、このところショップの開店・閉店や、店舗の統廃合などが相次ぎ、半年も行っていないとすぐに浦島太郎になってしまいます。


ツートップ	日本のパーツショップの代表。秋葉原に３店舗を構えるほか、全国に支店をもつ。価格、品揃えともトップクラス。
DOS/V パラダイス	ツートップと並ぶパーツショップの老舗。こちらも全国に支店あり。独自の怪しいパーツが格安で出ることがある。
T-ZONE	亜土電子の経営する総合 PC ショップ。PC DIY SHOP は、パーツ専門店としては秋葉原最大規模のフロア面積。
ツクモ	最近の秋葉原で最大勢力を誇る九十九電機の PC ショップ群。TSUKUMO eX. は全館 PC パーツの山。
ブレス	模範的なパーツショップ。通販でも安心して使える。
パソコン工房	本店は大阪。ケースの品揃えで他を圧倒する。
コムサテライト	秋葉原の老舗。改造情報に強い。
USER'S SIDE	ハイエンド志向の店。SuperMicro や Tyan マザーが豊富。
ぷらっとホーム	PC-UNIX とネットワークでは日本一。Be-OS まで扱っている。
俺コンハウス	Acer 系のパーツが豊富。明るい店舗。
アルファ	昔、スパンキーコンピュータという伝説の店があったところ。珍しいパーツを置いている。秋葉の怪しい店代表。
ロビン電子	ジャンク品、型落ち品が豊富。秋葉原駅から近い。
ZOA	新しい店だが、価格は安い。穴場。
神和電機	日本におけるメモリ価格のプライスリーダー。秋葉原ラジオデパート１Ｆのメモリ専門３店のひとつ。
キョードー半導体店	同上。
M&M	同上。

日本橋

　日本橋は、秋葉原ほどではありませんが、やはり電脳街といえる規模です。主要パーツについては、価格的にも秋葉原とほとんど変わらず、秋葉原では品切れの商品が日本橋では残っていることもあり、侮れません。


ツートップ	やはりここがパーツショップのリファレンス。
DOS/V パラダイス	意外にも、メモリが日本橋最安値のことが多い。中古品あり。
T-ZONE	IBM 系に強い。アウトレット店あり。
パソコン工房	３店舗あり。ケースが豊富。倒産流れ品など格安なものあり。
ソフトアイランド	ギガパレスもこの系列。やはり、格安パーツの宝庫。
アイツー	今後は Mobile に特化するらしい。
ミック	CPU が安い。メモリが安い。
ふぁすとばっく	大阪で PC-UNIX のことならここ。こだわりのパーツ多し。
パルテック	新しい店。ケースが豊富（パソコン工房以上）。穴場。
ギガコンプ	関西の改造マニアの生息地。ヒートシンクやクーラーが豊富。価格は決して安くない。
デジタルナビゲータ	日本橋の怪しい店代表。掘り出し物あり。

京都

　なぜここで京都なのかといえば、筆者が京都在住のためです。
　京都は、大阪・日本橋が近いためか、人口規模に比べてパーツを置いている店は少ない方です。専門店といえるのは、かろうじて４店と、中古専門店が１店だけ。北から順番に並べています。


P-CAT	京都には珍しい普通のパーツショップ。変わったものはない代わりに、ごく当たり前のものは一通り揃う。価格は、秋葉原や日本橋の平均レベル。丸太町通り烏丸西入ル。
DOS/V パラダイス	全国チェーン店。移転して、店舗は広くきれいになり、品揃えもそこそこになった。あとは日本橋店との価格差をなくしてほしい。寺町通り仏光寺下ル。
タニヤマ無線 C-Zone	家電チェーン店の PC ショップ。完成品がメインだが、自作パーツも置いている。寺町通り高辻上ル。
じゃんぱら	DOS/V パラダイスの中古品・ジャンク品専門店。寺町通り高辻下ル。
パソコン工房	ここも全国チェーン。フロアは比較的ゆったりしている。寺町電気街の最南端で河原町通りとの合流地点にある。
ソフマップ ギガストア	京都駅前の近鉄百貨店（PLATZ）6F。自作パーツから完成品、中古品、ソフトまで一通り揃える総合店。

通信販売・インターネット

　さて、東京や大阪（もしくはその近郊）に住んでいれば、秋葉原や日本橋の電脳街に気軽に出かけられるのですが、そうでない人は地元のパーツショップを探すか、通信販売を考えることになります。秋葉原、日本橋のパーツショップでも、通販に力を入れているところは少なくなく、また、地方に店を構えながら、通販主体で営業しているショップも存在します。


　通販の是非については、ここでは詳しく述べませんが、他の商品を購入するときと同じ心構えで利用すべきとだけ書いておきます。価格的には、地方のショップよりは確実に安価と言えますが、送料や手数料のこと、また、購入にまつわるトラブルや、商品を手にとって確かめられないリスクを考えあわせて、割り切って使う分には非常に便利なものです。


　通販の情報は、雑誌広告やインターネットの Web ページで得られます。ショップによって、手続きは千差万別で、電話だけで発送してくれるところもあれば、FAX で注文書を送る必要のあるところ、電子メールに限定しているところ、逆に電子メールでは受け付けていないところなど、それぞれの手続きをよく理解して申し込まないと、思わぬ遅れや発注ミスが生じるおそれがあります。


[広告の多い PC 雑誌]

「DOS/V Magazine」	PC 専門雑誌の草分け。分厚いが、半分は広告。月２回刊。
「ASCII DOS/V Issue」	こちらも後半はほとんど広告。月刊。
「DOS/V POWER REPORT」	AKIBA PC Hotline! でおなじみのインプレスが発行する PC 専門雑誌。
「Computer Shoppers」	アメリカにはよくあるタイプの、広告専門誌。

[インターネット通販]

　ここに挙げたもの以外にも、秋葉原や日本橋のショップのほとんどが Web ページを持ち、通販も行っています。後述の関連リンク集も参照してください。


高速電脳	都の西北・早稲田からついに秋葉原に進出。こだわりのパーツショップ。
パーツ堂	神奈川県・厚木のパーツショップ。
SYSTEM WORKS	静岡県のパーツショップ
パーツパドック	神戸市のパーツショップ。
テクノブライト	本来は卸販売。個人にも通販するとのこと。
PC Park	インターネット通販の専門店。
START	インターネット通販の専門店。
Outpost.com	アメリカからの直輸入が「日本語」でできる。

その他

　その昔、まだ日本では PC パーツが高価で、直輸入した方が安かった頃は、旅費をかけても外国に買い出しにいく人もいました。当時のメッカは香港だったのですが、最近では多少様変わりしているようです。秋葉原や日本橋があるのに、わざわざ出かけるまでもありませんが、旅行のついでにでも、アジア各地の電脳街に立ち寄ってみると、意外な発見があるかもしれません。


台湾

　世界の PC パーツの７割を生産しているといわれる台湾ですが、数年前までは末端の市場はさしてみるべきものもなく、わざわざ台湾に出かけても（こと PC パーツに関しては）得るものなしと言われていました。ところが、１〜２年前くらいから、おそらく国内の需要が出てきたためだと思われますが、いわゆる電脳街が形成され、活気を帯びてきているようです（伝聞情報）。


光華商場	電脳関係の小売店が軒を並べる、台湾における秋葉原のような場所。価格的にも、秋葉原に匹敵するらしい。とくに、日本にはまだ出荷されていない最新のマザーボード（なんと試作品）がときどき出回るとか。
NOVA	台北駅の裏の電脳ビル。こちらも要チェックらしい。

香港

　世界の PC パーツは、台湾で生産され、香港から世界各地に輸出されるとかで、こちらには古くからマニアがわざわざ出かけていったのですが、最近では価格的には秋葉原と大差ないようです。違法コピーのソフトウェアを大量に流通させているため、ときどき当局のガサ入れがあるようで、店の方もあまりおおっぴらにしたがらない傾向があります（伝聞情報）。香港在住の読者による電脳事情はこちら。


深水渉	（シャムスイポ）渉の字は本当は土辺です。高登電脳中心（Golden Computer Center）の２階に何としても上がるべし。昔から有名な電脳街です。
旺角	（モンコック）旺角電脳中心という、台湾の NOVA のような電脳ビルがあります。こちらはパーツショップが結構ありますが、安くはないです。

韓国

　韓国の電脳街は、PC ケースの種類に特徴があります。台湾製のオフホワイトやベージュのカラーに真っ向から対抗して、カラフルで派手なケースを各種取りそろえた店が多いとのことです。最近少しずつ日本にも輸入されてきているようですが、日本人がみたら度肝を抜かれる色合いのケースが欲しければ、韓国です（伝聞情報）。


龍山電子商街

小売店が多く並ぶ、韓国一の電脳街。